Q&A391~400 of 卓球技術研究所

卓球391~400

400.ペン表です。ミート打ち、角度打ちのやり方を教えていただけないでしょうか……

ハンドルネーム オーグ
こんにちは。
いつも見させていただき、とても参考になっています。

自分は、中2の中ペン表です。

質問なのですが、ミート打ち、角度打ちのやり方を
教えていただけないでしょうか。

自分は部内で唯一中ペンで、表を貼った人も自分のみです。

最近、ペン粒から転向したばっかりで、
正直ショート、フォアくらいしかできません。

ミート打ちがペン表で大切と聞いたのですが、
教えてくれる人がいないので困っています。
お願いします。


表ソフトですか。いいですね。

ミート打ち、角度打ちは、どう打てばいいのか? 

そう、表はドライブしても、あまり回転がかからないので、
やはり攻めの武器としてはミート打ち、角度打ちが必要になってきます。

ミート打ちも角度打ちも、トップスピンをかけないで打つことで、
おおまかにミート打ちはロング打法に、
角度打ちはツッツキやカット性のボールに対応した打法です。

まず、ミート打ちですが、
ロングボールが来たら、ボールの高さにバックスイングを取り、
そこから水平に打てばいいのです。

はい、卓技研式水平打法でいいわけです。

できるだけバックスイングは小さく、スイングも小さく鋭く、
フィニッシュはおでこではなく、胸や首あたりになります。

このとき大切なのは、トップスピンがかからないことです。

ナチュラルにゆるくトップスピンにはなりますが、
一般的なトップスピンボールとはまったくちがうものです。

卓技研では、この性質のボールを「ノンスピン」と称しています。

これは無回転のナックルと区別するものです。

ただし、実際にロング打ちをしているときは、
ラケットの角度やスイング軌道などで、
微妙にナックルになることもあります。

つぎに角度打ちですが、
これは飛んできたボールの回転に応じて、
ラケットの角度を調整して打つこと。

このときのポイントを箇条書きにしてみましょう。

①飛んできたボールの回転をよく見分ける

②ラケット角度を調整する

③腰のリードで打つこと。手や腕だけでスイングしない

④スイング軌道もボールの回転量によって調整する

⑤フォアクロスに打つときは、右利きならボールの右側面を打つ。
バッククロスなら左側面を打つ。
とくによく切れた下回転のときは、
ボールの側面と底面を打つことが重要

⑥できるだけスイングはコンパクトに。
とくに短いボールを打つときは、
フリックと同じで肘を支点にする

だいたい、こんなところでしょうか。

表ソフトラバーは相手ボールの回転の影響を
裏にくらべて受けにくい性質があります。

ですから、少々回転があっても、
角度打ち(ノンスピン打法)でバンバン打っても入る確率が高いのです。

このミート打法と角度打ちの精度を打球音で確認することができます。

より完璧なノンスピン打法になるほど、
打球音が「カーンッ」という高い音になります。

そして、グリップに伝わる感触がとても滑らかでソフト、
なんともいえずいい感じの手ごたえがあります。

この感触を卓技研では「スイートスポット」と呼んでいます。

野球の打撃なら「真芯」、
ゴルフはそのままスイートスポットと呼ばれています。

このような打球を打つと、
卓球をしていてほんとうに気持ちがいいものです。

ぜひ味わってください。

[報告メール]
こんにちは。
400 で質問させて頂いたオーグです。
丁寧に答えていただき、有り難う御座いました。
質問した後、卓球パーフェクトマスターを買い、毎日読んで研究しています。
早速、教えていただいたやり方を9月23日の練習でやってみました。
最初は慣れない部分もあり、ネットミスが多かったのですが、
ショートばかりのこれまでとは格段に良くなった気がします。
これからも練習して、実際の試合で勝ち越せるよう頑張ります。



399.レディスのダブルスでカットマンとペアを組む攻撃型ですが、動き方がよくわかりません……

こんにちは
卓球歴十数年の大阪のおばあちゃんです。

いつも拝見して、私なりに理解し勉強しています。

カットマンとのダブルスの動きについてお聞きしたいのですが、
私は右シェイクで裏、裏、カットマンは、右、裏、表です。

コーチにはカットマンの前を左右に動くように言われていますが、
二人が重なると逆を狙われてしまい、うまくいきません。

よろしくご指導お願いいたします。


レディスはダブルスの試合が多いようですね。

練習場でも、よくダブルスの練習を見かけます。

ご質問のダブルスのペアは攻撃型とカットマンですね。

コーチが言われるのは、ごくとうぜんのことでしょう。

カットマンは基本的に中陣や後陣でプレーするので、
攻撃型が前陣なのは理にかなっています。

ただ、いつもいつも、そういう前と後ろでプレーできるとは限りません。

カットマンだって、前でプレーします。

しかも、かなり頻度は多いものです。

とくにレディスの場合は、前陣でのツッツキ合戦が多いので、
ペアの二人とも前陣でプレーすることになります。

そうなると、二人が重なることも起こります。

ダブルスは、相手プレイヤーが打った位置に打ち返すのが
基本的な戦術ですから、
おたがいに相手が重なるように攻めるわけですから。

ダブルスでのペアの動き方ですが、
大前提として、打ったらすぐに移動して、
ペアの相手のためのプレースペースを確保することです。

とにかく、サービス後もレシーブ後も、
ラリー中も「打てばすぐに動け」です。

もちろん、カットマンも後ろにずっといればいいというものではありません。

たとえ、ほとんど攻撃しないカットマンであっても、
自分が打てばすぐに動くことです。

さて、ではどういうように動けばいいのか? 

基本の基本では、右利きどうしでは、時計回りに動きます。

打てば、右後ろに移動する、ということです。

まあ、これは一応の原則です。

ただし、バックサイドで打った場合などは、
そこからフォアサイドへの移動は長くなり、
距離的時間的にロスするので、
バックサイドの延長線上に移動し(台から離れ)ます。

また、ロング戦になった場合は
すぐに相手からボールが飛んでくるので、
打った人がすぐに移動し、
つぎに打つ人もすぐに前に入ることが大切です。

ちょっと整理してみましょう。

①打ったらすぐに動く

②時計回りに動くのが原則

③バックサイドで打ったら、そのままバックサイドの延長線上へ移動

④つぎに打つ人もすぐに入る

つぎにダブルスの練習についてです。

①時計回りにまわりながら、
打てばすぐに動く→すぐにつぎのプレーに備えて戻る。

送球者の打球は遅くてもいいですから、
ラリーを続けて、ミスしないようにします。

コースは最初はフォアサイドだけに送球してもらい、
慣れてくれば、台の3分の2(フォアサイド)に広げます。

②送球者にバックサイドにだけ打ってもらい、
それを反時計回りの動きでバックハンド系のツッツキやハーフボレー、
カットなどで返球します。

この二つの練習をしっかりとやってください。

この練習を積み重ねるだけで、
かなりおたがいの動きが滑らかになります。

最後に、いくら打てばすぐに動くことが大切といっても、
自分が打つときはしっかりと打つことが必要です。

やはりダブルスは凡ミスをしたほうが負けです。

「ちゃんと打って、早く動く」これが大前提です。

そして、ペアどうしがよく話し合い、励まし合って、
息の合ったコンビをつくることも忘れないでください。


398.スピード系の表ラバーで、相手に攻撃されにくいツッツキをするには……

こんにちは。いつも楽しく拝見しています。

卓球歴17年、20代女性、Kと申します。
シェイク裏表で、バックにはスピード系の表ラバーを使っています。

バック側に下回転のボールが来たときに、
角度合わせて攻撃するのがベストだと思いますが、
やむを得ずつっついて返さなければならないときがあります。

そんなとき、少し浮いたような、
そしてあまり回転のかかってないつっつきになってしまい、
相手のチャンスボールになってしまいます。

スピード系の表ラバーで、相手に攻撃されにくいつっつきをするには、
どういうところに気をつければいいでしょうか?

よろしくお願いします。


バック面にスピード系の表ソフト。

そして、下回転のボールをツッツくと、下回転が掛からず浮いてしまう、
どうしたらいいのか、というわけですね。

スピード系の表は、とうぜん球離れが早いラバーです。

スピンが掛かりづらい。

おそらく、ツッツキで浮くのは、ボールがラバーに接触するとき、
摩擦があまり起こっていないためでしょう。

ですから、低いツッツキをするには、
摩擦を多くするようにすればいいのです。

それには、大きく2つの方法があります……

A 
①飛んできたボールが頂点のとき、ボールの底面にラケットを入れる

②ラケットの角度を開く。打球面が水平に近くなる

③インパクトでボールの底をすくうように、ボールを長く持つ

④ラケットヘッドを上げる。下がる癖のあるプレイヤーが多く、
打球したボールはシュート回転して浮きやすい


⑤ラケット角度はごく普通の角度というか、
大雑把に水平と垂直の中間あたり

⑥飛んできたボールが頂点になる前のライジングで、
ボールの底面と後面の中間をねらう。
インパクト後からフォロースルーでラケット面は水平に開く

⑦下回転でリターンしたい場合は、
ボールの底面をぐいっと速く、鋭く切る。
ナックルでリターンしたいのなら、
中間のラケット角度のまま、押すようにインパクト

Aが飛んできたボールが下回転の場合の
基本的なツッツキスイングとなります。

もちろん、相手ボールの回転によっても、角度はかわってきます。

また習熟してくればナックル性のツッツキでも、
このスイングで切れた低いツッツキを打つことができます。

ポイントはボールを長く持つことと、ラケットヘッドを上げることです。

Bは攻撃的なツッツキです。

相手に攻撃のためのドライブや強打の準備時間を少なくさせたり、
相手フォアサイドへ速いスピードでツッツくことで、
相手を振り回すことができます。

このツッツキは、
ラケットヘッドがネット側に向いて操作ができるようになれば、
ライジングでの打球やストップなど、
臨機応変に対応がしやすくなります。

ほとんどのトッププレイヤーは、ラケットヘッドが相手側に向いています。

ツッツキも極めれば、かなり高度なテクニックを発揮することができます。

中国トップのたとえば馬琳などは、
普通のツッツキのスイングで、ネット際にストップします。

日本にいる中国出身のコーチは
普通のツッツキでツーバウンドさせる練習をさせます。

通常、ストップはライジングでバウンドした直後に、
いかにもストップするぞ、という感じですが、
このストップは頂点を打つ、
ほんとうにごく普通のツッツキのフォームです。

それと、これは何度も述べてますが、
ツッツキを切ろうとするなら、柔らかいグリップから、
インパクトの瞬間にグッと指を握ります。

ほんとに、強く握手(シェークハンド)するように握るのです。

そうすると、ツッツキのスイングスピードが増して、よく切れます。

また、ボールをラケットに当てる位置で、切ったり、切らなかったりします。

サービスの下回転とナックルのときに、
ボールを当てる位置を変えるのと同じです。

切る場合はラケットの先端、切らない場合はラケットの後ろです。

この位置を変えるだけで、同じスイングフォーム、
同じスイングスピードで切る切らないと変化をつけることができます。

要するに、同じフォーム、スイングで、コースの長短、回転の変化、
タイミングをはずすことを意識するように工夫すればいいのです。

卓球って、ツッツキひとつでも、
とっても奥が深いですね。


397.フォアハンドトップスイングのインパクト・ポイントはどこでしょうか……

まつむしと申します。

先生の卓球パーフェクトマスターやWEBサイトをみて
技術を学んでいるところです。

□質問内容

・フォアハンドトップスイング(シェーク)のインパクト打球位置を
右足先の延長線上、おへその延長線上か
正しい位置をご指導願います。 

スイングは丹田を意識しています。 

また、「卓技研式水平打法」の動画、
「せん健VS馬龍」の動画フォアハンドスイング軌道に注目しました。

が身体のどこの延長線でインパクトしているのか解りません、
宜しくお願い致します。 


フォアハンドトップスイングという呼び方は、
筆者が『卓球パーフェクトマスター』ではじめて使った用語で、
頂点打法という意味です。

まあ、一般的なフォアロングです。

なぜ、こういう用語にしたかというと、
ハーフボレーや中陣・後陣での打法と区別する必要があったためです。

ちなみに、中陣・後陣での打法は「パワースイング」としました。

さて、フォアハンドトップスイングのインパクトのポイントですが、
高さはその名の通り頂点となります。

そして前後の位置ですが、
右利きなら、右足先とおへその中間あたりになります(なるのかな?)。

というか、そういうように
インパクト・ポイントを意識したことがなかったので、
これでいいのかなとも思います。

ご自分がフォアハンドを打つ時、
もっとも安定し、かつ強打がスムーズに打てる位置が
理想的なインパクト・ポイントです。

もうすこし具体的に述べると、
小さな前にならえをして、肘が体からこぶし一つ分ほど離します。

そしてクロスに打つなら、
飛んできたボールの延長線上にバックスイングをとり、
体のほぼ真横までひきます。

とても小さなバックスイングです。

そしてインパクトに向かうのですが、
このとき上記のスイングが
もっとも無理なくスムーズに振れるのが
インパクトのポイント(打球位置)となります。

これはいわば理想のインパクト・ポイントで、
実際のラリーでは、相手打球の長さや左右への飛び方で、
その都度、微妙にずれて、それを身体のセンサーがキャッチして、
スイングのタイミングや腕の位置などでバランスをとるのでしょう。

ですから、できるだけ上記の理想的なスイングができるように
フットワークをつかって左右前後に動くことが大切ですね。

それと、丹田を意識してスイングされるのは、とってもいいことです。

腕や手ではなく、丹田や腰を意識して、
下半身のリードでスイングすれば、
スイング全体のバランスがとれ、
しかもメンタルも安定して、
試合での緊張した局面でもミスがすくなくなります。

また、「せん健VS馬龍」の動画ですが、
これはせん健のフォアハンドスイングのことですよね? 

せん健がインパクト・ポイントをどう意識しているか
筆者の知るところではありません。

ちなみに、せん健のスイングは世界のトッププレイヤーのなかでは、
もっとも卓技研式水平打法に近いものです。


396.日本男子は大きな変革を求められていると思います……

秋場さん、ご丁寧なお返事ありがとうございます。

坂田です。

とても勉強になります。

私自身秋場さんに謝罪しなければいけない事があるのですが、
いつもわかりづらい質問をしてしまいすみません。

他の質問者に対する回答を見ていた中に
そういったご指摘があったので、
おそらく私も含まれていると思っています。

これから私も具体的に抽象的な文章にならないように
気を付けたいと思います。

こういったコミニケーションがとれるサイトがある事が
とてもうれしいので、いろいろと自分の気持ちを書いてしまいました。

具体的な何かがわからなければ秋場さんもわかりづらいですよね。

私も最近いろいろと余裕があまりませんでしたが、
卓球技術研究所については
必ず自宅にいる際一日一回観覧しています。

今回久しぶりに秋場さんとメールのやりとりができ、
うれしかったです。

それと私の今回の中国選手選手に対する見解ですが、
秋場さんとほぼ同じ意見で、
補助剤がなくても勝てないと私も思っています。

中国にも技術はありますし、
実際紅双喜のラバーなど見ていても
日本に劣らない技術がある事がわかります。

優れた粘着テンションのラバーを作る事は可能だと思っています。

具体的にはそういった用具を開発でき、
かつそれを使いこなすフィジカルが中国選手にはあるという事です。

水谷選手には厳しい言い方をするようですが、
考え方を根本的に変えなければ勝つことは難しいと思っています。

ですが、秋場さんがご指摘になったように
丹羽選手が馬龍選手に勝った試合があります。

水谷選手もここで初心に帰り、
丹羽選手から学ぶべき点は学ぶべきだと思います。

丹羽選手の用具の条件は水谷選手と同じはずです。

正直日本男子は大きな変革を求められていると思います。

ここであきらめず踏ん張って欲しいです。

長文で申し訳ないのですが、
秋場さんまた今後ともよろしくお願いします。

失礼します。


当方の答えにさっそく返信いただきありがとうございます。

まず、「質問」のことですが、たしかに抽象的というか、
あまりにも質問内容が広いというか大きすぎるものがあります。

極端に言うと、「どうすれば卓球上達しますか?」みたいな。

このような質問に真正面から答えようと思えば
本を10冊書いても足りないでしょう。

卓球は奥が深く、高度な技術になるほど微細な領域に入っていきます。

まあ、だから卓技には尽きぬ面白さがあるわけです。

質問する方にお願いしたいのは、
テクニックでもメンタルでも、タクティックスでも、
その分野は問いませんが、
とにかくできるかぎり質問の焦点をしぼって
具体的に書いていただきたいのです。

高度な質問でなくてもかまいません。

ビギナーの方、大歓迎です。

また、どんなに高度な質問でも受けて立ちます。

もし、当方でわからなければ、わからないと正直にいいます。

その質問に興味をもてば、専門家に取材しても答えましょう。

残念ながら、いままでそんな質問はありませんでしたが……。

まあ、気楽に、あなたの卓球にまつわる悩みを、
できるだけわかりやすく書いてください。

当方は、誠心誠意答えます。

それと、水谷隼に関することですが、
「(水谷は)考え方を根本的に変えなければ
勝つことは難しいと思っています」ということですが、
いや、彼は自分の卓球の課題をよく理解していると思います。

よく理解しているからこそ、中国の超級リーグに参戦したわけです。

中国という異文化で暮らしながら中国各地を転戦するのは、
かなりハードなことです。

水谷は日本男子でもっともモチベーションの高いプレイヤーでしょう。

ただ、彼は「球を持てる」という技術が突出していて、
逆にそれが彼の進化を妨げています。

「高度なテクニシャン」はときとして、
「小手先の技術で逃げる」ということになります。

日本では通用しても、世界のトップになると、
そこをウィークポイントとしてがんがん突いてきます。

有体にいえば、世界では「つないで勝つ」ことはできないのです。

つなぎのボールを打った時点で負けです。

日本でもすでにその兆候はありますし、
ここ1、2年のうちに完全にそうなるでしょう。

それから「正直日本男子は大きな変革を求められていると思います。
ここであきらめず踏ん張って欲しいです」とありますが、
当方もまったく同じ意見です。

ほんと、あきらめず、打倒・中国を希求してもらいたいものです。

水谷、丹羽のそのつぎのプレイヤーが見当たりません。

だれかいますかね? 

青森山田の森薗に期待していたのですが、
今夏のインターハイの男子シングルス決勝を観るかぎり、
ちょっと……という感じがしました。

でもまだ、森薗には十分な伸びしろがあります。

話は尽きませんが、また質問メールしてください。

それでは……。


395.スマッシュとドライブのスイング・リズムの違いについての考えをお聞かせてください……

Q366、370、386で日ペンのバックハンド他について
お便りさせていただいた佐藤です。

今回はスマッシュとドライブでのスイングでのリズムの違いについて
お考えをお聞かせいただきたいと思います。

前のメールで述べたように、低い下切れに対して
スマッシュとドライブの両方で攻撃できるよう練習をしているのですが、
スマッシュはバウンドの頂点寸前を狙い済まして
「全身の力をインパクトに集中して弾く」感じ、
ドライブは体感を軸に腰や肩甲骨のひねりで
「遠心力で力を伝える」感じ
(スマッシュは「タ、タン」、ドライブは「タン、ターン」
という感じとでもいいましょうか・・)ではないでしょうか?

ドライブのリズムでスマッシュを打とうとすると
オーバーミスが多いように思われます
(オーバーを気にして、力を弱めたり被せたりするとネットミスです。)。

そこで、スマッシュ狙いの「待ち」をベースにして、
ドライブを打つときはそこからドライブのリズムに切り替えて
スイングするようにしています。

これらの点について如何お考えでしょうか?

(しかし、仰るように相手がドライブを予想しているときに
スマッシュが行くと、大した球でなくとも効きますね。)

日ペンでのバックハンドについては、
基本練習でのハーフボレーやドライブの練習と、ゲームで
「バックコーナーやサイドをきるサーブやツッツキに対する攻撃」と
「飛びつきの後、バックへ振られたボールを攻撃」に
的をしぼって取り組んでいます。

ゲームで1~2本でもレシーブからのバックハンド攻撃が入ると、
相手が結構嫌がってサーブとかがミドルに集まるのですが、
そうするとペンのプレーヤーにとっては
打ちごろの球が動かなくても良いところに来るので、フォアのフリック強打やドライブでの先制攻撃がやりやすいですね。

ラリー戦でも振るバックハンドが混じると、
さほど強力なたまでなくとも相手は合わせずらそうですし、
通常のショートやプッシュも活きます
(特にプッシュで、押すだけでなく
斜め上から押さえながらインパクトの瞬間に手首のスナップで
弾くようにするとナックル強打っぽくなりより効果的でした。)。

長文になりましたが宜しくお願いします。


ご質問のスマッシュ(強打)と
ドライブのリズム(タイミング)の取り方ですが、
最初に結論を述べますと、
理想としては「間をつくる」ということです。

まあ、これはあくまで「理想」です。

高く浮きあがったボールがスマッシュやドライブをしやすい、
その一つの大きな理由は間が取れるからです。

はい、自分が打球するための時間が余裕をもって取れるとミスがなく、
しかも威力あるボールを打つことができます。

ある程度練習すれば、人はそれなりに上達するものです。

しかし、いつかその人は壁にぶちあたります。

壁はいくつもありますが、もっと手強いのが「間」です。

はい、低いボール、速いボール、回転のかかったボール、
大きく動かされるボールなど、
こんな相手の厳しい打球にたいして、
いかに「間がとれるのか」が最大のテーマとなります。

この「間」を基準にして、逆算して自分のプレーを見直してみると、
自分が取り組まなくてはならないテーマが明確になってきます。

さて、ドライブのリズムでスマッシュを打つと
オーバーミスが多くなるということですが、
いくつかその原因が考えられます。

その最大の要因は重心の方向性にあるのではないでしょうか。

ドライブは基本的にこすりあげますから、
どんなに水平に重心を移動させようとしても、
下から上への方向性があります。

それにたいしてスマッシュや強打は水平方向になります。

つまり、ドライブの重心移動の感覚で
スマッシュをしているのではないでしょうか。

このオーバーミスを防ぐには、スマッシュや強打するときのスイングに、
腰のリードで水平に振ることを意識することです。

それとドライブするときの重心移動をできるだけ水平にするようにします。

これは、よりドライブとスマッシュの重心移動の方向性を
近づけるためです(それでもドライブとスマッシュの重心移動は
同じにはなりませんが……)。

ドライブで重心の方向が水平になれば、
ボールが持ち上がらずネットミスが増えますが、
これはスイングスピードを増すことで解消できます。

そしてこれができると、ドライブの威力もアップします。

とはいっても、よく切れた粒高のぶつ切りのバックスピンを
ドライブするには垂直方向のスイング軌道となりますが……。

また、「スマッシュ狙いの「待ち」をベースにして、
ドライブを打つときはそこからドライブのリズムに切り替えて
スイングするようにしています」ということですが、
基本的にそれが正解です。

なぜなら、スマッシュのときのラケットの位置は高く取りますから、
そこからとくに打球点を落としてドライブするときなどは、
ラケットの位置(バックスイング)が低くなります。

高いラケット位置→下げるのは、時間的なロスはありませんが、
低いラケット位置から高い位置にもってきてスマッシュ
(それにブロックやカウンターも)すると、
時間的な遅れや下から上へのスイング軌道のため
オーバーミスが多くなります。

ですから、スマッシュもドライブも
基本的にラケットの位置を高くして待つことです。

ただし、冒頭に述べた自分の「間」をつくることは、
卓球する限り永遠のテーマとして取り組んでもらいたいものです。

それと、相手がドライブを予想しているときスマッシュや強打をすると、
それほど強力ではなくても効果的であること、
またペンでショートやプッシュの「押すバックハンド」だけではなく、
「振るバックハンド」を使うと
相手のタイミングを狂わせることなどを
実感していただいてなによりです。

これはひじょうに先進的な戦術で、トップレベルにも有効ですので、
これからもどんどんこのテクニックを磨いてほしいものです。


394.サーブやレシーブのあとの台との距離、それと重心・姿勢・スタンスはどうすればいいのでしょうか……

こんにちは いつも楽しく拝見させていただいております。
何度か質問にも答えていただいた 醤油マジ万能 です。

さて、今回の質問なのですが
オールコート(または練習試合)での「動き方」についてです。

(case1)として
相手がサーブを出す→ツッツキ→
(ツッツキ後、後ろに下がれていないため)
相手の弱ドライブで撃ち抜かれてしまう。

(case2)自分がサーブを出しながらバックステップをとる→
相手が突っついてくる→また前陣に戻されて甘いツッツキを出す→
強打される

つまりどのタイミングで中陣まで下がるのか、
その時は体重はかかとに乗っているのがよいのか、
つま先に乗っているのがよいのか、
ずっと前傾姿勢のままがよいのか、
サービスレシーブ後は上半身はまっすぐ位がよいのか、
足はどのくらい開けばいいのか、
ひざは曲げっぱなしの方がよいのか

そういったことがコーチについて
習ったことが一度もないからかわかりません。

サーブを出してすぐバックステップをとりますが
その距離はどれくらいとるものなのか
などなど きりもなく考えては 
練習なら返せるはずのボールをオールとなると
体勢が悪いせいで返せなくなってしまいます。

2点
短めのサーブを出したときは
どれくらいバックステップするべきなのか
相手のサーブをツッツキで返したあとは
足はどういう風にしていたらいいのか

最近これらに混乱し、路頭に迷っています。

どうかよろしくお願いします。


お答えします。

まず、質問の内容で感じたのは、
相手の攻撃を受けることから話がはじまっていることです。

攻撃タイプであるなら、というか、
カットマンなど守備専門のプレイスタイル以外なら、
先制攻撃することを意識すべきです。
(カットマンも3球目・4球目攻撃をねらうこともありますが)

そこから自分の卓球の組み立てを指向しなくてはなりません。

相手に先制されるということは、
それだけでかなり不利になることは明らかなことですから。

もちろん、ブロックやカウンターの大切さを否定しませんが、
どうすれば先に攻撃ができるのかをまず意識してください。

たとえばcase1で、レシーブでツッツキとありますが、
相手に簡単にドライブされるツッツキをした段階で
かなり不利な状況に追い込まれているのです。

その相手の力量が高いほど、
かぎりなくポイントを失う確率が高くなるでしょう。

なので、レシーブではできるだけツッツキをしないで、
フリックとかチキータとかドライブとかで攻めることを意識し、
どうしてもそれができなければ、
ストップで短くリターンして相手の3球目攻撃を防ぎ、
自分の4球目攻撃につなぐとか、
あるいは仕方なく長いツッツキをしなければならないのなら、
エンドラインぎりぎりとか、サイドラインをえぐるとか、
ぶつ切りとか、スピードをだすとか、などの工夫をして、
相手に簡単に攻撃させないようにすることです。

まず、このあたりを心がけることを前提として、
つぎに話をすすめましょう。

レシーブしたあと、サービスしたあとの位置ですが、
それは自分が攻撃しやすい位置ということになります。

それと自分がレシーブしたとき、
そのボールが短いと相手も短く返球してくる可能性が高いので、
前に位置するとか、
自分がスピード系サービスをだしたら
相手はドライブも含むロングボールで
返球してくる可能性が高いので、
すこし台との距離をとるとか、臨機応変に対応すべきです。

質問で気になったのは「どのタイミングで中陣まで下がるのか」です。

中陣とは台から75センチから1メートル程度離れる位置ですが、
なぜ中陣まで下がることを意識しないといけないのですか? 

ラリーの流れのなかで中陣に下がるのはあるとしても、
最初から中陣に下がることを意識することはなぜでしょう。

相対的に台から下がったほうが不利です。

なぜなら、それだけ相手の打球にたいして、
自分が「時間」を必要としているからです。

その「時間」を「距離」でカバーしようとして、
下がるわけですね。

そして下がれば下がるだけ、横や前後に大きく動かされることになり、また自分の打球の威力も減少します。

だから、最初から中陣まで下がることを前提にすることは
ちょっと問題ではないでしょうか。

中国男子どうしがたたかうとき、
中陣での激しいラリーが連続することがありますが、
これはボールの威力が強く、打球も深いので、
頂点で打球するなら中陣になるからです。

それだけレベルが高く、
また中陣で横に大きく速く動けるフットワークを
中国男子が擁しているからです。

その中国男子でも、最初から中陣まで下がることを意識してはいません。

また重心や姿勢バランス、足のスタンスなどは、
前述と同じで、どの打球がリターンされてくるのかの予測や
また実際に飛んでくる打球によってケースバイケースでかわります。

一点アドバイスすることは、
サービスをだしたときは台にかなり接近していますから、
サービス後は数十センチ離れることは
3球目に攻めるにしろ守るにしろ必要なことです。


393.中ペンでフォア面表ですが、先生に相談したら「一回裏で練習してみては」と言われて……

秋場さんこんにちは

初めて質問します  ハンドルネーム レパロです

いつも拝見させてもらって水平打法など学んでいます。

今まで中ペンに、フォア表ソフト、バックに裏ソフトを使っていました。

相手にドライブを打たせて、それをフォアでカウンターして、
スマッシュで決めるという戦い方をしていたのですが
浅いループドライブや浅い下回転の返球にてこずって
ミスしてしまうことがあったので
先生に相談したところ
「表ソフトは使ったことがないからよくわからない。
一回裏ソフトにして練習してから表ソフトにしてみたら。」
と言われたので、
裏裏にして同じような戦い方でやっています。

ですが表ソフトの感覚が抜けずにいて、
多球練の時はドライブがうまく入るのに、
試合になると垂直に近く面を取ってドライブしてしまい
オーバーミスをよくしてしまいます。
それでよく練習相手に練習にならない
と言われてしまいます。

相手のためにも早く慣れて裏ソフトに慣れなきゃと思い
毎日夜にフォームを確認して、
角度も気を付けて、素振りをするのですが、
試合になるとどうしても表ソフトのようになってしまいます。

時々、表に戻した時も同じようになってしまうのではないか
とも思ってしまいます。

①表ソフトに直した方がいいのか、
裏ソフトで練習した方がいいのか

②ラバーに早く慣れる方法

③試合でフォームを崩さない方法

を教えてください。

出来たら表の場合、浅いループドライブ、浅い下回転、沈むドライブ
に対するミートうちの仕方、ドライブで攻める方法も教えてください。

質問が多くなってしまいました。すみません。
よろしくお願いします。


はっきり言っちゃいますが、相談した相手がわるかったですね。

先生に相談したところ
「表ソフトは使ったことがないからよくわからない。
一回裏ソフトにして練習してから表ソフトにしてみたら」

先生とは、卓球部顧問のことですよね?

表ソフトは使ったことがないからよくわからない、
まではなかなか先生正直でいいんですが、
それがなぜいったん裏にかえて練習しなきゃいけないんですかね。

意味がわかりません。

どういう合理的理由で表を裏にして、また表に戻すのですかね? 

では具体的に質問にお答えしましょう。

①表ソフトに直した方がいいのか、裏ソフトで練習した方がいいのか

これから先も表でやりたいのなら、
もちろん裏で練習なんてしないで、表で練習したほうがいいでしょう。

もう一度述べますが、裏ソフトで練習するという意味がわかりません。

できたら、その先生になぜ裏で練習するのか訊ねてください。

もしかしたら、筆者には及びもつかない
高度な技術的見地からの判断かもしれませんから。

②ラバーに早く慣れる方法 

もうできるかぎり多くそのラバーで打つことです。

③試合でフォームを崩さない方法 

しっかりとしてフォームで練習を積むことです。

以上! 

これでは身も蓋もありませんから、もうちょっと親切に解説してみましょう。

②の質問と関連しますが、表ソフトと裏ソフトは、
まず完全に異なるタイプのラバーだという自覚をすることです。

このことを理解していないで、
表を使っているプレイヤーがかなり多いようです。

ほとんどの表プレイヤーが裏と同じようなスイングをしています。

たとえば表でフォアハンドのロングを打つとき、
裏と同じようにボールにトップスピンをかけるというか、
こすりながら打つ人がほとんです。

こんな打ち方をするのを見ると、表の特徴を理解していないというか、
せっかくの表のストロングポイントを活かしていないと嘆きたくなります。

表の特徴を挙げてみます。

①球離れがいい

②初速スピードがでる

③相手のスピンボールの影響を受けにくい

④ナックルがだしやすい

⑤スピンもだせる

こんなところでしょうか。

もちろん表ソフトといっても、
裏ソフトに近いスピンがよくかかるものや、
粒高に近いナックルがでやすい
(愛ちゃんがバック面に使っているような)ものがあります。

でも、「近い」といってもそれは「比較的」であって、
やはりどんなタイプの表ソフトであっても、
裏ソフトや粒高とは、その特徴が大きくちがうものです。

やはり、表を使うからには、
最大限に①②③の特徴を活かしてもらいたいものです。

で、その特徴を活かすには、やはりその打ち方が必要となります。

それはロング打法の基本としては、
ボールに摩擦をかけない打ち方です。

はい、スピード打法。ボールとラバーに摩擦が起こらないだけ、
それはスピードとなります。

バックスイングは飛んでくるボールの延長線上にとって、
ラケット面を台にたいして垂直に立て、
そのまま水平にスイングするのです。

まあ、卓技研式水平打法の基本ですが、
この打ち方が表ソフトの特徴を活かしたロング打法となります。

それと、表を使っていたとき、
「浅いループドライブや浅い下回転の返球にてこずってミス」
をするということですが、
これはあなたが右利きなら
左足をしっかりと前に踏み込んで打つことです。

このミスは表というラバーのせいではなく、
フットワークの問題だろうと思います。

「出来たら表の場合、浅いループドライブ、浅い下回転、
沈むドライブに対するミート打ちの仕方、
ドライブで攻める方法も教えてください」
という質問に答えます。

前述したように、浅いボールは十分に踏み込んで打つのが基本です。

また、そもそも沈むドライブをブロックするのは
トップクラスでも処理が大変です。

相手のドライブが沈むのか、跳ね上がるのか、
バウンドしてからでないとなかなか判断しづらいからです。

沈む、跳ねる、曲がる、どんなに変化するドライブでも、
バウンドした直後に打つと処理しやすくなります。

変化する前に打つからです。

それとバックハンドをとらず、
高いラケットの位置から、水平軌道に打つことです。

このときボールの斜め横を叩けば、
より安全に、よりスピードのあるブロック・カウンターになります。

表でドライブするときは、トップスピンの威力に頼り、
そのドライブで決めるというのはなく、
下回転の処理やロング打法の変化に使い、
つぎの打球で決めるというイメージでいいのではないでしょうか。

表ソフトの特徴を活かしたプレー、スイングを意識してください。


392.勝つ人の、試合中の「頭の働かせ方」を知りたいのですが……

こんにちは、高2男の和と申します。

イチニサン方や目の動きなど、
いつも興味深く拝見させていただいています。

はじめに私の現状についてまとめます。
ドライブ主戦型です。

練習中はかなり集中しており、考えている方だと思います。

フットワークには自信があり、ドライブの威力も付いてきました
(バックも含めて)。台上技術もひととおりこなせます。

技術的にまだ未熟なのはレシーブ
(左右の回転に対する順回転、逆回転レシーブの使い分け)
とサーブ(回転の配分や落とす位置、
YG、ストレートへのロングサーブ)だと思います。

もちろん細かいことを言うとキリがないですが…

先輩などからも、それだけ動けるならサーブレシーブさえちゃんとしたら
勝てるねとよく言われるのですが、全く勝てません。

集中力が途切れると、明らかに技術的に上回っている
はずの後輩にも勝てません。

恐らくこれは、自分がものすごく「試合が下手」だからだと思います。
というのも、

①試合になると何も考えられなくなり、
数ヶ月まえの自分に戻ったかのようなプレーになってしまう、
何となく感じでプレーしてしまう

②集中力が続かない

③戦術を考えない

このようなことがあるからです。

そこでお聞きしたいことが2つあります。

①勝てる人は試合中は具体的に
どのような「頭の働かせ方」をしているのでしょうか?

戦術そのものについては大分自分で調べたのですが、
試合中にどのタイミングで
どこまで深く考えればいいのかが分かりません。

例えばサーブは
次にどんなサーブを出したらよいかは考えるのですが、
いつも練習で意識していること
(バウンドの位置、切る感触、出したあとの戻り)は考えません。

やはりこうした技術的なことは、
練習で「無意識化」するべきであって
試合中は戦術のことだけを考えるべきなのか、…悩みます(笑)

具体的に試合の進行に即して
思考状態を教えていただけたら嬉しいです。

②ラリー中の頭の働かせ方
練習のラリー中は常にフォームチェックや戻り、
相手を見て球を予測することなどを意識していますが、
試合のラリー中でもこうしたことを考えるべきなのでしょうか?

要するに、①の質問のラリー中の一瞬の話なのですが…

いつも試合になると頭が練習のときとは全く違う状態になり、
何となくやってしまい、結果フォームやフットワークはぐちゃぐちゃ、
弾道の予測はやらないで毎回自分を責めることになってしまいます。

練習でもまだ未熟な技術なら分かるのですが、
練習で無意識に出来ることさえも試合中はできなくなってしまいます。

試合のラリー中はどんなことを考えるべきなのでしょうか?

できればその思考状態にはどうしたらもっていけるかも含めて
教えてください。とても悩んでいます。

よろしくお願いします!


[その1]
ご質問の内容は、実はとっても難解なことなんです。

「考える」「考えない」「集中とは」「意識・無意識」……。

これらのテーマは、たとえばある面においては
「もっとよく考えろ」とも言えるし、
また「考えすぎ」とも言える場合もあるのです。

「意識」のことも、たとえば自分がいまミスをしたとき、
どこに問題があるのか意識することも大切だし、
かといって意識しすぎると問題が出てくるときもあります。

まず、結論から言っちゃいましょう。

A.自分のプレー、心理状態を
絶えずもう一人の自分が客観的にチェックし、適切に分析すること。
→この点からは、よく考えることが大切である。

B.プレーとは身体全体をともなった活動であり、
そのよりよいパフォーマンスを阻害するのは
身体の一部である「脳機能」であり、
心理学的には未熟な「自我機能」である。
→この点からは、ヘタに考えないこと。
人間が秘めている身体の潜在能力をよりよく発揮させる。

いわゆるピークエクスペリエンス、ゾーン、フロー
と呼ばれる状態になると驚異的なパフォーマンスが生まれます。
これはトップアスリートにかぎらず、
多くのスポーツプレイヤーが体験することで、筆者もあります。

……大雑把に言うと、こうなります。

どんな問題も、底流には二律背反的なテーマが横たわります。

だから、人生って、簡単な答えがなくて、一筋縄ではいかないわけです。

でも、だからこそ、人生の妙味があるわけで。

そしてだからこそ、スポーツプレイヤーには
かならずコーチの存在が認められているわけです。

プレイヤー独りでは、なかなか問題点が見つけられにくいから、
助言者が必要になってくるのです。

では質問の①の答えを述べます。

試合はラブオールで始まるのではなく、それ以前から始まっています。

多くの人が緊張しますが、緊張するということは、
それだけ自分にとって大切なことを行うということの証明です。

ですから、卓球の試合前に緊張することは、
自分にとって卓球をすることはとても大切な行為なのです。

そのことを再認識して、卓球をすること、
そしていまから試合ができることに感謝します。

試合の開始のときに最高の身心の状態にもっていくために、
ストレッチや腹式呼吸など身心のウォームアップを行います。

その過程で最高のプレーをして勝つことを誓います。

自分で自分に言い聞かせるのです。

当たり前のことのようですが、これをするかどうかで、
試合のパフォーマンスに雲泥の差が出ます。

戦闘モードに入るといっていいでしょう。

どうすれば自分が最高の状態で試合に臨めるか、
確かめながら、楽しみながら実行していくのです。

こういったことの積み重ねをやるかやならいかで、
数か月で大きな差となります。

試合が始まれば、まず自分の調子、
相手のレベルや得意・不得意などを冷静に分析します。

重要なのは、「心はホットで、頭はクールに」ということです。

熱い闘う心と、冷静に自他を分析する頭脳をしっかりと使い分けます。

ここで一つの判断の目安があります。

自分のドライブや強打にネットミスが多いときは、
気持ちが勝ちに逸って打ち急いでいる証拠です。

打球点がいつもより早いのです。

そういうときは、深呼吸でもして気持ちを鎮め、
ボールをしっかりと引きつけるようにします。

逆にオーバーミスが多いときは、
ビビっているときや勝ちたくてミスを恐れているときです。

野球の投手でいう「ボールを置きに行く」ピッチングです。

卓球では、そういうときは、ラケットが下から出ることが多くなります。

ドライブならスイング軌道が垂直方向に向きすぎています。

いつもよりループドライブに近いスイングに片寄っているのです。

そういうときは、手や腕ではなく、
腰のリードでスイングをするようにします。

長くなりました。

戦術や②の解答は次回につづきます。

[その2]
試合中にどういうことを考えるべきか? 

技術的なことは「無意識化」して、戦術に専念すべきか? 

理想的には戦術に専念すべきですね。

第一、試合のとき、この技術できねえなあ、といっても、
ほとんどの場合、試合中にそんなことできないわけで、
そんなもん練習でやっとおけ、ということになりますよね。

ただし、そうはいっても人間って、日によって調子の波があって、
技術的なレベルもそのときで高低が出てしまうもの。

野球でいうと、いくら超エース級のすごい投手でも、
初回からメッタ打ちされることもあるのですから。

なので、ある程度は、自分の調子を自分で観測することも大切です。

その技術的な調子の波は、とくに試合になると出やすく、
そうなるとそれはメンタルがかなり影響しているので、
自分の精神状態をしっかりと見定める必要があります。

それと戦術ですが、戦術を考えられるには
それなりのレベルに達していないと戦術ウンヌンのことは言えません。

たとえば、フォア前にバックスピンサービスを出して、
バックサイドにレシーブされたボールを
バックハンドドライブで相手のバックサイドで攻めるという、
戦術を考えたとします。

そうすると、まずはフォア前にバックスピンを出せる
それなりの技術が必要となります。

このサービスが出せてはじめて、戦術というものが成り立つわけです。

そして、フォア前によく切れたバックスピンサービスというのは、
それ相応の練習を積まないと出せないわけです。

試合に確実に勝っていこうと思うならば、
一つ一つの技術を着実にものにすべきです。

サービスの種類を多くもつより、それなりのレベルのサービスを
まずは2種類マスターしたほうがいいでしょう。

もちろん多くの種類をもったほうが有利ですが、
低レベルを多く持つより、高レベルを2つもった方が
試合では圧倒的に有利です。

自分がねらったコースにねらった回転で、
どんな緊張した局面でも自信をもって出せるサービスを
着実にマスターしてください。

そしてマスターしたなら、そこから戦術的に技術を拡張させるのです。

たとえばさっきのフォア前のバックスピンが
確実に出せるようになったら、
つぎに相手のバックサイド深くに入るサイドスピンをマスターするとか。

そうすると、相手レシーバーは
フォア前とバックサイドの対角線上への備えが必要となり、
またファオ前への下回転とバッククロスの横回転という
回転の違いにも神経を使うわけです。

そしてまた、このようなそれなりの技術的な力量の裏付けがあって、
相手への対策的戦術も存在するわけです。

たとえば相手のフォア前サービスに、
自分が相手のバックサイドへの
ストップレシーブしかできないのであれば、
もう戦術もなにも立てようがありません。

ストップのツッツキのほかに、
相手のフォアサイドをえぐるツッツキや
フリックなどの技術をマスターしていないと、
戦術など考えようもないわけです。

そしてそれがあって、こんごもっと強い相手と対戦したときのために、
フォア前にもチキータを使おうか、
というように戦術の発展が考えられるわけです。

もう、解答者がいわんとしていることが、わかりますよね。

そう、それなりに高いレベルの技術を
しっかりとひとつずつマスターするということです。

では、「それなりのレベル」とはどの程度のレベルなのか? 

これはたとえばサービスでいうなら、
上級者と対戦しても、
最低相手に致命的な攻撃をされないレベルです。

通常、相手がリターンするのに神経を使い、
やっと守備的にリターンするしかないレベルです。

中級や初級には
かなり得点力があるサービスということになります。

こういうレベルのサービスが1種類でもあれば、
ものすごく試合が有利になります。

そして、そのレベルのサービスが2種類3種類と増えていけば、
飛躍的にサービスの戦術的な効果がたかまるのです。

つぎに「②試合ラリー中の頭の働かせ方」です。

元世界チャンピオンの荻村さんは
「卓球は、100メートル走のなかでチェスをする」でしたっけ、
たしかそんな趣意のことばを遺されていますが、
これは卓球の、速いスピード性のなかで
瞬時に高度な戦術思考を要求されることを述べたものです。

たしかに卓球というスポーツを的確に言い表した名言ですが、
実際のプレー中に、あれこれ考えるなんてできるものではありません。

考えているあいだにラリーは終わっているでしょう。

相手がつぎにどこにリターンしてくるか、
どうやって判断すればいいのか、という質問がときどきありますが、
これも考えて出るものではありません。

訓練を積んでいくと、このコースにこの程度の打球の強さと回転なら、
ここにリターンしてくる確率が高い、
ということが「体でわかる」ものなのです。

たとえば相手のバッククロスに深くて強いボールを打てば
レベルが低くなるほど、
センターやバッククロスにリターンされるものです。

それをストレートに打つのは、
よほど技術的に高くないとできないものです。

世界のトップの試合を観ていてもそれはあきらかです。

また、相手の打球がどこにくるのか的確に察知しようとするのなら、
インパクトの瞬間、ボールではなく相手を見ることです。

ボールをよく見ることは必要ですが、
インパクトの瞬間まで見る必要はありません。

しっかりとボールを見つつ、インパクトの瞬間に相手を見る、
という練習を日ごろが積み重ねると、これができるようになります。

ただこれはトップクラスでもやっている者はわずかです。

サービスも同じで、サービスを出したとき、
自分のボールを眼で追うのではなく、
サービスを出したあとは、相手レシーバーの動きを見るのです。

そうすれば、飛躍的に3球目の動きが早くなります。

中国の元世界チャンピオン張怡寧はこれを実践していましたが、
では果たして日本のトップで
これを実践している選手はどれだけいるでしょう。

これもやればできます。

そしてやれば確実に試合を有利にします。

なぜ、こんなことを述べるのかというと、
やれば絶対に有利になることを
練習を積んでマスターすることが試合に勝つ秘訣だからです。

そうした練習で積み重ねた技術の裏付けがあっての戦術です。

そして、いったんラリーが開始されれば、
自分の身体にまかせるのです。

ラリー中に思考なんてすべきではないし、
またできたものではありません。

最後に、これを肝に銘じてください。

プレー中の思考する頭は、身体より頭が悪いのです。

そう、頭は体より頭が悪いのです。

卓技研・秋場龍一

391.中国のこの常軌を逸した強さを崩せないのでしょうか……

秋場さん、こんにちは。坂田正臣です。

以前卓球技術研究所に何通かメールさせていただき、
その際は親切にお答えいただきありがとうございました。
近年なかなか仕事の方が大変でメールなどが打てませんでした。
ですが、研究所のサイトや全日本選手権などには足を運び
卓球を見たい、学びたいという気持ちはまだたくさんあります。

秋場さんにお考えをお聞きしたい事があるのですが、
今回私はロンドン五輪、そして、今年の世界選手権を見ていて
正直悲しい気持ちになりました。

あまりに中国が強すぎるという事です、
はっきり勝てる気配が全く感じられないという事です。
たしかにボル選手のように中国に対抗できる選手がいますが、
ですが金メダルというのは難しいと思います。
それだけ中国の選手と力の差がある事はボル選手に限らず、
水谷選手との試合でもその力の差ははっきりとわかります。

秋場さんにお聞きしたいのは
今後この中国の独占を阻むには具体的な何が必要か
そして水谷選手が指摘したように
本当に補助剤がなくなれば中国選手と互角に戦えるのかということです。

私が今なぜ補助剤に言及したかというと
あまりに打球音が中国選手と他の選手達が違うからです。

職場でも家族にも、他の競技には若い子が出てきているのに
卓球はいつまでも出てこないねと言われます。
心の中でそんな事はないのにと僕は思っていますが・・・。

ただ他のスポーツと比べてあまりに一つの国の独占率が高く、
このままだと競技としても本当に成り立たなくなるのではないか
とそんな危機感を覚える毎日です。

実際に今回各国からの枠は二名という事もあり、
中国選手達がたくさん出場する世界選手権こそが
本当の難関だとする声もネットの中で上がっています。

中国のこの常軌を逸した強さは本当に崩せないのでしょうか、
そして補助剤が本当に影響しているのでしょうか。

秋場さんのお考えお聞かせください。よろしくお願いします。


こんにちは。お久しぶりです。

質問にたいする答えの大部分は、
この間の「日本卓球が時代を超克するには」
「石川対馮観戦記「純技術的観点から述べると……」」
「「補助剤」での取材コメントについて」等を
お読みいただけば充当できるでしょう。

たとえば「中国の独占を阻むには具体的な何が必要か」は
「日本卓球が時代を超克するには」の
「その2」で具体的に展開しております。

また「水谷選手が指摘したように
本当に補助剤がなくなれば中国選手と互角に戦えるのか」ですが、
端的に述べれば、たとえ中国が補助剤を使わなくても
「互角」にはならないでしょう。

とはいっても、けっして補助剤を使うことを
擁護しているわけではありません。

やはり「補助剤」などの問題は、あってはならないことで、
卓球が競技スポーツとしての信頼性を失墜することですから。

まあ、水泳の水着でもこの種の問題が起こっており、
「違法」と「脱法」と「合法」のすきまに起こるのでしょう。

ITTFも問題を掌握しているようですから、
いずれにせよ迅速な解決が待たれるところです。

あと、次代を担う若手選手の輩出ですが、
う~ん男子はちょっとヤバいかな。

とはいっても、水谷もまだまだ老けこむ齢でもないし、
丹羽なんてまだ高校生ですから。

課題は丹羽につづく若手ですが、
じつは青森山田高の森薗に期待しています。

インターハイの決勝を観たのですが、
負けたから言うのではなく、そのプレーぶりにちょっとがっかりしました。

丹羽と同じ左の小柄ですが、そのプレースタイルはまるでちがいます。

ちがってぜんぜんいいのですが、以前はもっと切れ味というか、
もっときらきら光るものがありましたが、インターハイでは……。

日本の優秀なほとんどのプレイヤーは、
高校までで伸びしろが見えなくなります。

中学・高校で嘱望されていたホープが、
大学から社会人に進学するとほとんど成長が止まってしまいます。

この例外として傑出しているのが、現在の男女の日本代表メンバーです。

そう、水谷、丹羽、平野、福原、石川です。

彼らは高卒後も成長することで、現在の地位を確保しているのです。

女子は平野美宇と伊藤美誠ちゃんは、
第2の福原、石川クラスか、
それ以上に成長する可能性を秘めています。

ただ、彼女たちが中国の壁を破れるのか
といえば……考え込まざるをえません。

さて、中国の独占的な強さが、
卓球の競技スポーツとしての興味を失わせることはたしかです。

この現状をいつまでもゆるしておいていいわけはありません。

さらに、元中国選手が帰化して、
その国の代表として出場することもいっそう興味を失わせます。

とはいっても、それだけ実力のある中国選手が多いわけで、
帰化しようがプレイヤーは個々の人間であり、
「国」というある種偏狭なアイデンティティで、
個人のプレイヤーを括ってしまうのもどうかとも思います。

それとこれだけ中国が強いと、まるでそんな中国がわるい
みたいな雰囲気がでてきてしまうのですが、
やはり中国に対抗できるプレイヤーを輩出できない
他の国に課題があるのです。

中国卓球の変遷を見ていると、
絶えざる技術革新と身体能力のアップに、
ものすごい努力をしていることがわかります。

それは単に中国という国家がバックだから、
という理由だけで済ませてはならないと思うのです。

「中国の常軌を逸した強さ」とありますが、
中国の強さはけっして常軌を逸してはいません。

なぜなら、彼らのプレーは超人的なものではないからです。

それなりに人の集団がエネルギーを結集させれば、
これくらいのプレーはできるものなんだ、
というレベルではないでしょうか。

現に中国のトップも、海外の大会では外国選手に負けています。

(ただし、五輪や世界選手権ではめったに負けませんが)

ロンドン五輪予選では、丹羽に馬龍が負けたではありませんか。

日本のスタンダードでは「常軌を逸している」かもしれませんが、
中国のスタンダードでは「常識の範疇」でしょう。

技術的・戦略的には「日本卓球が時代を超克するには」で
展開したように、①高速ピッチ、②変化スピン、③広角ストローク
が必要でしょう。

それと、どんどん中国国内で彼らと同じ環境で、
多くの試合に出ることです。

石川が超級リーグに参加するということですし、
この間ミキハウスやその他の日本選手も
中国の大会に参戦していますが、
ほんとうに中国を打倒しようとするなら、
数年は中国国内の環境で練習や試合をしてみる必要があります。

それと決定的なのは指導者です。

プレーヤーの育成以上に、指導者の育成が必要でしょう。